てんから庵閑話 爺連の新年会


平成二十三年度 爺連新年会


 春まだ浅い二月の吉日、同好の徒の集り「復刻赤岩魚」爺連の新年会が催されました。
秩父の小粋な小料理屋の二階に集まり参じたる者、総員の七名。
皆、既に還暦を遠く過ぎしが健やかに日々を過せし者共。
歳経るにつれ、いよいよ我侭倣岸になりしが、奇態なるはその情欲は少しの衰えも見せず。
過は美しかった女人を捕らまえては“ようよう 一夜を伴にせぬか・・・”などと真顔で云う。

主旨は、かつ喰い かつ呑みながら
今年度の我々の健全谿行祈念するとともに、ささやかな山谷活動の道筋を決めようとのことであった。

 しかし・・・。
少し席を立って戻り来れば。
棟梁は、蛮声を張上げて昭和の歌を滔々と際限なく唄い
彼の者は、酒酔い回りて頓死し
また彼の者は、既に夢心地にて山谷を徘徊しおるにて
はたまた彼の者二人は、岩魚談義で意見違い違いて相譲ることなく喧嘩に発展するが如く
彼の物書き者は、面白きネタを探そうとて… 煙草をくゆらせ目を光らせてある。

 ついに何の一つも定まることも無く終わりしが・・・。

 このように依怙地にして他に譲ることのない倣岸な爺どもが集まりて一つ事を成すのは実に難行にあり。
せめて、皆一様に頭の薄きが如くに思い一丸となれば…と欲するのだが・・・ 
嗚呼…我も其の一員なりと・・・。



                             平成23年(2011) 初春.
(追記) 後日に料理屋より。
     襖破れ、畳汚しと数万円の追加請求ありしが。
     “汝か 汝か・・・” と問えば、皆が “俺にはあらじ 知らぬ 知らぬ・・・” と薄情の輩共なり。


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