てんから庵閑話 哀悼・・・友は、


哀悼 ・・・  は 、

七つ瀑の悪場を 私は 知らない、
友の “来るな ・・・  来ては いけない ・・・ ” 声が するから。
これからも 行くことは ないだろう。 少し 辛すぎる ・・・から。

人は、“悲しみ や 辛いことは  時が過ぎれば 薄らいでゆく” と 云います。
それは 嘘です 気休めです。
ただ、 少しづつ 少しづつ 心の奥の方に 仕舞い込まれる だけなのです。
そっと、 とりだしてみると  少しも 薄らいでなんか いなくて、 かえって 大きく深くさえ なっているのです。
 








友は ・・・、
 今も 一緒に 釣りを している ・・・。



夏の始まり ・・・、

夜  電話 ・・・、

「弟が 死んだ ・・・、  崖から落ちた ・・・ らしい。」

「 ・・・・・・・・・・・・。」






彼に 逢った ・・・。


“なんで ・・・、 お前は ・・・、

フィッシングベストを着て 寝ているんだい、 ウエーダーまで 履いて

其処に 入れてあるんだね、 何時もの ボロザックは ・・・、

テンカラ竿も 持って 行くのかい ・・・、

おまけに 本まで・・・、原全教の「奥秩父」まで 持って ・・・、

仕掛けに 毛鉤は、 持った かい ・・・

・・・・・・・・・、

でも ・・・、 バンダナの 代わりに着けた ・・・、

その 白い 三角の布は ・・・  とっても お前 似合わないな ・・・。”


“お前は ・・・、

あっちへ行っても ・・・、 奥秩父の峪で 岩魚を釣るんかい ・・・。”



                                            平成4年(1992) 記.


もし ここをご覧になつている方がおられましたなら。 
“釣りは楽しいものです、でも 決して無理をせず 決して気を抜かず 安全第一でまいりましょう。”


 

戻 る
inserted by FC2 system