てんから庵閑話 チクショー!こんなに汚しゃぁがって・・・、


チクショー!こんなにしゃぁがって・・・ 滝川水系 直蔵淵


 我ら爺は暇人だ・・・。
することといえばは草むしりだけだ。
孫と遊ぶのは疲れるし、家にジッとして居ると鬱陶しがられる。
ボケてもいけないし・・・。

 だから、我ら爺は三人してまたも谿へと出かけた。
腰痛と足痛で二人欠けた。

 滝川の此処の場所は、我らの好きな直蔵淵だ、我らが神聖な処とする一つなのだ。

 『ヤ〜チクショウ!汚しゃがったナ〜』 缶だ、瓶だ、弁当の喰ひカスだ。
 『野郎チクショウ!拾え拾え!』 爺達は、叫び、かつ這い回った。
 『オノレ、オノレェ此処は便所じゃネェ、糞は家でしろィ』 悲痛な叫びもあがった。

 此処は、何時も何処かで鹿が見ている。
“人間は不思議な生き物だ、捨てる役と拾う役割があるらしい。”
思ったに違ひない「ピィー ピィー」と 声がする。

 一休みしてから、淵に竿を出した。
何も釣れなかった、当たりの一つもなかった。


 奥秩父の峪も、シルバー人材センターの人を清掃に雇はなければならん。
しかし、其処の淵にまで行けるかが、大きな問題だ。

                           平成17年(2005) 晩秋.



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