『ヤァ 山に藤の花が咲いた！』 いよいよ源流用テンカラ竿、四太郎丸の出陣だ・・・。 『随分と待たせたナｧ 四太郎、今年の谿見せは何時にしょうかい、 やっぱり 豆焼沢の流れを見たいかい。』 毛鉤の見釣りは、其処の山に藤の花が咲いてからだ。 其れまでは、岩魚の奴、目の前に毛バリを流したって、 岩陰から見ているだけだからな。 『奴は聡いからナ、人の騙し道具だってこと覚えちまうからな。 振らねえこったい・・・。』 『だいいち 黒くて痩せた奴を釣るなんて可哀想なこったい。』 昔に、職漁師の親爺が云っていたっけ・・・。 平成６年（1994） 春． |
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