てんから庵閑話 廃集落の社に・・・、


廃集落に・・・ 浦山川水系 冠岩沢

・・

 あまりにも天気が好い日だった。 

 浦山川の支流の冠岩沢へ行った。

 古へは、此処に集落が在った・・・。
今は誰れも棲んでは居ない、ただ数軒の朽ちた民家が残されて在る。
家々は、また “棲み人が戻り帰って来る” と思っているのだろうか
ひっそりと佇んでいる。
集落の入り口に、つっかい棒で支えられた社が祀られて在った。
境内は、掃き清められてある 赤い花が飾られている。
誰が手向けたのだろうか・・・。

 下の峪川の水を汲んで沸かして、社の大木の根元でコーヒーを点てて啜った。
昼下がり 
小一時間も其処に座って居たけれども 誰れも来なかった。
時々、風だけがヒョウヒョウと木立を吹き抜けた。
ひょっとして 昔に此処に棲んで居た人が来るような気がしたのだけれども・・・。

 以前は、上流にまで岩魚が棲んでひたと云う。
今はどうだろう 
古の人達と一緒に、此処を離れ去ったのかもしれない・・・。

                           
平成17年(2005) 夏.



戻 る
inserted by FC2 system