爺 漂泊の記 滝川水系 豆焼沢のトウの滝へ、
滝川 水系 豆焼沢のトウの滝へ
奥秩父の名渓の豆焼沢は滝川の一大支流です、雁坂嶺を源頭として 50m大滝を含めて幾つもの名瀑を連ね流れ下るのです。 しかし、其の下流域は国道140号を通すに変貌させられてしまいました、人工の谷と化したトウバク沢に昔日の面影はありません。 でも 杣途を辿り行き着く先のトウの滝から本来の豆焼沢はあるのです、厳しい峡間に滝と美しい滑 苦しい遡行は浪漫の始まりです。 そして 其処に自然も魚達も 昔の侭に在るのです。 |
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出会の丘からトウの滝への杣道へ入る、 国道140号は豆焼大橋の手前右に折れ上ると「出会の丘」に 着く、50台程停まれる駐車場があって立派な資料館があります。 車を停め置くことにいたします。 此処の管理人さんはこの辺りの谷にとても詳しくてとても参考にな りますし戻りが遅いと“如何かしたかと思ったョ”等と心配もしてく れるのです。 滝川の中・上流・豆焼沢へ行く時は、此処に駐車いて行くのです。 さて、建物の裏手を廻ってコンクリート造りのワサビ沢を渡って対岸 にわたり杣道に向うのですが、少し判り難いのです。誤って真直ぐに 突き進むと雁坂大橋の手前本谷の高い岩壁の上に出てもしまうから です。 ワサビ沢に沿って少し降(30m程)ると踏み跡が分岐しています、 右手を見ますと鉄パイプのハシゴ状の階段があるので此れを登り 行くのです。 |
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トウバク沢への高みから振り返ると 赤い豆焼大橋が、 暫くはジグザグと杣道は高くに登ります。途中に“熊に注意”の看板 もあり緊張もさせられます、振り返れば 赤い豆焼大橋が望めます。 谷は深く、行き交う車が豆粒のように認められます、音は聞こえずに 静寂です。 高い橋の下は深い深い豆焼沢の下流部 ゴゼ滝 ホチ滝の名瀑が 連なります が・・・、国道工事の影響で 何も棲まない 死の峪と化 してしまいました。 二昔の前は“2尺の岩魚が棲む”と聞かされたものでした。 何時になったら 其の姿を取り戻すのでしょうか それとも 永遠に。 |
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トウバク沢の谿傍に鎮魂の碑があって、 杣道は平坦になってトウバク沢へ向います。 トウバク沢の手前に沢を見下ろすように道脇に“鎮魂碑”があります。 「山愛人の碑」と記されています、此処トウバク沢で事故に遭われた 方なのでしょうか、碑を建てられた方の思いが文句から偲べます。 今のトウバク沢はトンネルの開削礫で埋められ人工の谷と化してし まいました(上の写真)亡くなられた方はどの様な思いで見つめてい るのでしょうか。釣り人でしょうかタバコが手向けてあります。 昔のトウバク沢の此処の辺りは岩魚達の住まう厳しい峪だったので すが・・・。 それでも此の人工のトウバク沢は何となく陽気で気持ちの良い処で す、お握りを食べて昼寝でもしたくなる処なのです。 向こうの和名倉山も対岸の黒岩尾根の突き出しも 絶景なのです。 |
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もう直ぐにトウの滝 栂の大木が立つ、 トウバク沢を渡って一旦は高みに登ります、それからは豆焼沢 の流れを左下に眺めながらのんびりと行きます、途中に数箇所 小沢のガレ場が杣道を崩してして注意しなければなりません。 いよいよ流れに近くなると道端に大きな栂の大木が在って見事 です。 この辺りは熊笹が繁っていてノッソリとオヤジが現れそうなのです。 熊除けの鈴を高らかにカラコロと鳴らして行きましょう。 |
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杣道はトウの滝下へ降りる、 樅の大木を見送ると杣道は流れに降り出合います。 降りた処はトウの滝の下 2段構えで落差8m程 巾広で見事な滝 です。 トウバク沢を渡ってから本谷へ降りて 3〜4時間も釣り遡すれば此処 に着くことになるのです。 此処から杣道は滝の右岸を高くに巻いて上流に向っています。 此処 豆焼沢は滝の多い谷です、トウの滝は滝川の出合いからす れば丁度に中間の地点となりましょうか、そして雁坂トンネルは丁 度この辺りの地中を通過していることになるのです、でも そんな事 この風景には関係の無いことなのです。 さて・・・ 空は秋晴れ、少し足を伸ばして、 此処を渡って豆焼の大滝を眺めに行くことにいたします。 平成11年(1999) 晩秋 |
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(逍遥 時間) 出合の丘〜トウバク沢= 45分 トウバク沢〜トウの滝= 45分 |
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(帰途 時間) トウの滝〜トウバク沢= 45分 トウバク沢〜出合の丘= 30分 |