漂泊の記 向沢の流れの出る湧水を見に行く

大血川水系 向沢れの湧水

原全教の「奥秩父」の大血川のくだりにこんな記述がある。
『大血川部落の對岸に、三峰奥宮の方に喰ひ込む澤は確立した名稱もないが、通稱向谷と呼ばれ、
仲々深い澤で、白岩と云ふ大岩壁の下にはこの谷随一の大鍾乳洞があり、そこから溢れ出る水が水流をなして居るさうだ。』


 十数年程もの前に、此処を訪れたことがあった。
周囲の岩峰が屹立した幻想的な風景の中、
大岸壁の根方から滾々と水が流れ出でていたことが想い出された。
既に記憶も薄く、定かでなくなってしまったので訪ねてみることにした。

大血川との出合いから二時間程も沢を辿って上がって来た。

周囲の風景は随分と変わったと思えた。
多分、木々が高く繁って高い高い岩峰・岩壁が見え難くなってしまったからであろうか。

確かこの辺りであったが・・・。  あった・・・!。
大岩壁の根方から水は滾々と湧き出でていた。


更に上流を窺えば、衿を合わせた様な岩間の中を僅かな流れが駆け下りている。
その流れと大岩壁から湧き出た流れの水量比は、1:1程であろうか。
以前に見た時は、上流からの流れは無かった。
渇水期には向谷の流れはこの大岩壁下の湧き水が源を為すのであろう。

この奥を辿れば三峰の奥宮へ行かれると云うのだが、踏み跡は無く随分に厳しそうだ。
“何時の日かに、辿ってみよう・・・。”


余談だが、此の中は…?と腕まくりをして手を差し込んでみた。
凄い水圧で水が吹き飛び散って上半身がビッショリと濡れてしまった。
風邪をひいては…と着替えねばならなかつた。
 余計な事はするものではない・・・と悟った。

                        

     逍遥時間
    大血川出合〜白岩下 = 約 2時間

     帰途時間    白岩下〜大血川出合 = 約1 時間
                                                       平成23年(20112)  秋.   



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